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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『ノンフィクション・ダイアリー』(2013)★★ [韓国映画]

原題
『논픽션 다이어리』
(2013)
★★
(韓国一般公開 2014年7月17日)

英語訳題名
『Non-fiction Diary』

日本語訳題名
『ノンフィクション・ダイアリー』

nonf2.jpg
(STORY)
1987年、韓国で六・二九民主化宣言が行われ、軍事政権の終焉が決定的になった。
そして1993年2月、金泳三大統領による民主政権が始まる。
それは多くの韓国国民にとって、明るい未来の幕開けのはずだった…

…1993年、貧しい青年たちが韓国社会の不幸を妬み憂い、あるグループを組織した。
その名は「至尊派」。
彼らは正義を標榜し活動を開始するが、グループの実体はとんでもない身勝手かつ異常な殺人集団に過ぎなかった…

…1994年、ソウルの漢江に掛けられた全長1キロを超える大鉄橋「聖水大橋」。
そこが地下鉄車両通過中に突然崩壊したことから、50人を超える死傷者を出した。
「聖水大橋」は韓国人自身の手で設計され建設された「韓国の誇り」であり、ソウル・江南方面と江東方面を結ぶ重要な鉄道拠点だったが、事故の原因は手抜き工事によるものだった…

…1995年、ソウルの静観な住宅街にある三豊百貨店が多くの買い物客を巻き込んで崩落し、死者500人を超える大惨事となった。
だが、建物崩壊が起こる危険性は事前に百貨店の経営者たちに知らされていた…

自由と豊かさが本格的に花開き始めた1990年代の韓国社会。
そこで起こった大事件を通して豊かさの代償を問うドキュメンタリー。
サイゴウ
「この映画は、ほぼ同じ時期に起こった韓国史上の大事件を描いたドキュメンタリーなんだけど、改めて時間軸順に並べてみると韓国の民主化政権時代が踏んだり蹴ったりの幕開けであることが、よーく分かる」

サカモト
「しかも、この後に怒涛のIMF下体制も始まる訳ですから、この映画で扱ったものは序章にしか過ぎませんし、今現在の韓国を思うと、呪われているというか、社会の根幹がまだまだ未熟で安定していない国だな、ってつくづく思ってしまいました。表向きの繕いや辻褄合わせは上手なんですけどね」

サイゴウ
「事件当時の人たちをそのまま今の韓国に連れてきたら、生活水準や自由度が遥かに上なのでビックリはするだろうけど、社会の不安定さと格差については【嘘だ!こんなはずじゃない!】って言いそうな気がする。延世大とか高麗大の前でデモやって機動隊に石投げていた連中ならモチベーション無くしそうだ」

サカモト
「当時のソウルの空気って、淀んで暗くはあっても、みんな表情が明るくて目がキラキラしていた、っていう印象が強いのですが、なによりも過度なネット依存社会になっていない分、今ほど無責任でデタラメな嘘が堂々とまかり通っていなかったような気もします」

サイゴウ
「その代わり、【みんなが言っているから】という理屈に影響されやすい部分も大きかったけどな。それが今はネットを介して【なんでもあり】の【無秩序状態】に変わったワケだけど、少数ながら、まともな人たちの意見も固定的に発信されるようにもなったから、『至尊派』のような事件は起こりにくくなっているかもしれない」

サカモト
「その分、ソーシャル・ネットワークに踊らされた不満分子の攻撃先が、より韓国の現政府、司法、富裕層、そして日本へ直接向かって来ているような気はしますけどね」

サイゴウ
「声高にひとりよがりな意見を主張して騒ぐ連中の多くは、概して周囲と自分の相対関係を客観的に見る能力が欠如していると思うよ。残念だけど、そういう人が韓国は日本より多いんじゃないのかな?」

サカモト
「この映画で取り扱っている三大事件の原因も、結局は韓国特有の【自分が一番】【自分が正しい】【他人が悪い】という、いつものセオリーが背景にあって起こったともいえるのではないでしょうか?」

サイゴウ
「でも、それって学術的に証明できないし、オレたち外国人が指摘するんじゃなくて、韓国の大衆自身がそういった気質を自覚して大きな改革ムーブメントを起こさない限り、これからも大して変わらないだろうな」

サカモト
「そして新たな社会改革が起これば起こったで、別の不満を言い出す輩も必ず出てきますから、せっかくの動きも【正論偽装の身勝手要求】にすり替わってしまう危険性は絶えずあるでしょうね、韓国では…」

サイゴウ
「韓国で個々人と接する限り、【イっちゃった異常な人】にはあまり会わないし、オレらの【反韓】的意見についても、それなりに耳を傾けてくれるように見えるんだけどな。でも結局は【聞いているフリ】だけなのかも。そこら辺、日本人には受け入れ難いというか、理解が難しいと思う」

サカモト
「でも、韓国人同士でそうなら、【聞いているフリ】という問題は、なお深刻ですよ。だから韓国人は自分の思い通りにならないと、すぐに相手を恫喝したり屁理屈のゴリ押しをして、ヘゲモニーを握ろうとするのかもしれませんけどね」

サイゴウ
「各人それぞれだから、「韓国人はこうだ」なんて一概には言えないけど、地道な相互理解が実は成立しない社会なのかもよ…そういえば、今回題材にもなっている聖水大橋の事件が起こってから韓国の建築基準法関連は大幅に変わったよな。1990年代後半から2000年代初めにかけて既にある物件の改築だとか建て直しが盛んに行われて、個人オーナーは大変だったみたいだけど…」

サカモト
「でも、法律を強化しても【手抜き体質】は相変わらず、って気はします。確かに今の新しい建築物はしっかりしていますから安定感はありますけど、最後に儲かるのは特定業者とそれに近い人であって、とばっちりを喰らうのはいつも一般庶民、という構図。再開発で沸き起こる街場の大騒ぎ報道を観るたびにそう思いますよ」

サイゴウ
「日本だって、お役所や大企業中心で物事が廻り、一番迷惑を被るのは貧乏人という構図は同じだけど、韓国より極端ではないかもしれないな。日本は行政と経済、文化の間に不可視の境界線が一応あって、一種の安全装置になっていると思うんだけど、韓国は【なんでもかんでも国家・行政主導】になっちゃう。しかも、一般の人たちが国に対してひどい依存気質になっていることを自覚していないように見える。大事件が起こるたびに【政府が悪い!財閥が悪い!日本が悪い!だから俺たちに金と権利をよこせ!】って、一時的に面白おかしく盛り上がるけど、五年、十年経てば、みんな忘れちゃう。【もしかしたら自分自身に原因があるのでは?】という突き詰め方をしないから、失敗で得た教訓が持続性のあるものとして残り難いんじゃないのか?」

サカモト
「至尊派や聖水大橋と三豊百貨店の事件、事故にしても当時は大騒ぎでしたけど、今では多くの人たちにとって大昔の忘れかけた出来事になっているのではないでしょうか?」

サイゴウ
「結局、自分に直接関わって来ない限り、どの事件も一種のゴシップみたいなモノ。韓国社会は事象の移り変わりが激しいので、【反日】と【政治家と財界人憎し】以外の過去に拘っていると今の暮らしがやって行けない余裕の無さもあると思う。【教訓が生かされない】という点ではオレたち日本人も、とやかく言えないけど、日本では少なくとも事が起きてから二十年、三十年くらいは教訓として残っている気はするので、まだ救われるって感じかな?」

サカモト
「さて、この『ノンフィクション・ダイアリー』ですが、日本で公開されたら反響はあるでしょうか?』

サイゴウ
『この映画に出てくる1990年代の三大事件は当時の日本でも珍しく報道されたから、【韓流】ではない【韓国の事象】に関心の深い人なら結構面白いと思う。『至尊派事件』なんて、それこそ日本のマスコミじゃ、扱いが【ほんの触り】だけだったので逆に今観ると衝撃的かもしれない』

サカモト
「映画の中では至尊派アジトの死体焼却施設や、そこで処理された犠牲者の遺体をちゃんと見せますからね」

サイゴウ
「犯人たちの処刑直前の様子から執行されて遺体が運び出されるところまで、当時の韓国ではTV中継していたらしいのには驚いた。それだけ彼の国では大きな事件だったんだろうけど、そこら辺の感覚は日本じゃ、わからないよな」

サカモト
「犯人たちが自分らの正当性ばかり訴えていた姿は日本のニュースで見たので覚えているんですけど、改めて観直すと、リーダー格の男なんて自分のやったことを自覚する能力が全く無いんじゃないかと思うくらい、粗暴で不遜ですよね」

サイゴウ
「至尊派連中が狎鴎亭辺りを闊歩していた「オレンジ族(※)」を憎んでいたことは有名な話だけど、その割に彼らの髪型とかファッションが「オレンジ族」みたいなのは物凄い矛盾を感じたよ。サラリーマンみたいな堅気の格好で犯罪に臨み、自己主張を繰り広げていたら、韓国社会への影響はまた違っていたんじゃないだろうか?」
(※)1980年代後半、狎鴎亭付近を闊歩しナンパを繰り広げていた裕福な家庭の若者たちの総称。ある意味、今と状況はあまり変わらないような気も。

サカモト
「彼らについては元捜査関係者や宗教関係者もインタビューに答えていますが、あそこら辺は韓国でも知られていなかったことなのでは?」

サイゴウ
「でもそれって、やっぱり至尊派事件が一過性の話題に過ぎず、世間にとっては【面白おかしい】ゴシップでしか無かった、っていう証なのかもしれないけどな」

サカモト
「今の日本では【反韓・嫌韓ブーム】の格好な揚げ足取り材料にされそうな作品ですが、【韓流ブーム】真っ最中なら逆にマスコミその他の怒りを買って完全に抹殺されそうですね。それを思うと日本もトホホです」

サイゴウ
「どちらにしても日本でこの作品は世間の関心を呼び起こさないだろう。なぜなら【反韓・嫌韓ブーム】にしても【韓流ブーム】にしても、その根底には日本人の一貫した【韓国への無関心】があると思うからだ。だからこそ、どちらもマスコミやらインターネットがネタとして煽ることで【ブーム】として盛り上がっちゃうワケだろ?そこに『ノンフィクション・ダイアリー』のようなキッチュだけど硬派な韓国の社会派ドキュメンタリーを持ってきても、興味を示すのはやっぱり韓国についてコアな専門的関心を持っている一部の人たちだけ。そういう意味では今も昔も日本の【韓国ブーム】から遊離してしまう作品じゃないかな?ただ、一般公開は無理にしても何らかの形で日本語字幕付きヴァージョンを紹介してもいいと思う。日本の【韓国無関心】や【韓国幻想】に対して、ある程度補完してくれる可能性を持った作品かもしれないからな」
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