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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『サンタバーバラ』(2013)★ [韓国映画]

原題
『산타바바라』
(2013)
(韓国一般公開 2014年7月16日)

日本語訳題名
『サンタバーバラ』

勝手に題名を付けてみました
『二人のサンタバーバラ』

santa2.jpg

(STORY)
ジョンウ(=イ・サンユン)とスギョン(=ユン・ジンソ)、二人の出会いは袖振り合うところから始まった。

音楽監督として作曲業に携わるジョンウは、ある日、自宅兼仕事場に押しかけてきた中年女性たちに借金のカタとして大事なギターを取られてしまう。
そんな彼の窮地にチャンスを投げかけたのが、広告代理店に務めるスギョンだった。

友人の友人という浅い縁、仕事も価値観も異なる二人だったが、仕事を通してデートを重ねるようになり、やがて恋人関係になってゆく。

だが、冷酷に仕事を進めるスギョンのやり方は、やもをないとは言え、広告仕事に慣れていないジョンウにとっては決して納得できるものではなかった。
このことを機に疎遠になる二人だったが、しばらくぶりにジョンウに再会したスギョンはアメリカのスタジオで録音を行う仕事を申し出る。
スタジオのある場所、そこは二人が好きなカリフォルニア州南部のサンタバーバラだった。

空港で二人を迎えたのはアメリカに住んでいるジョンウの妹、ソヨン(=イ・ソンム)だ。
最初は皆で仲良くワイン醸造所巡りをする楽しい日々が続き、スタジオ側との交渉もうまくいくと思えたが、ジョンウとスギョンに突然録音スタジオが使えないという危機が降りかかる。
サイゴウ
「いやあ、はたまた企業経営者のお遊び映画だな、こりゃ。そう考えるとなんだかイヤ」

サカモト
「てっきり、前作『내가 고백을 하면(私が告白すれば)』で懲りたのかと思っていたのですが…」

サイゴウ
「チョ・ソンギュ監督自身はちゃんと韓国映画界の実績もあるわけだし、映画人であることも間違いないし、時々こういう内輪ウケ的なインディーズ映画があってもいいとは思うんだけど、【スポンジ・ハウス】(※)で観ちゃうと、苦笑するしかない映画でもあるよな」
(※)地下鉄五号線『光化門』駅近くにあるミニ・シアター。昔はソウル市内に複数あったが今はここだけ。

サカモト
「でも、映画製作を行う上での道具立てとして映画界の人脈やロケ場所を利用しているだけと思いますよ。【利用できるものはクソでもゴミでも何でも使え!】というロジャー・コーマン的な製作者の姿勢でしょう。それに作品の内容自体は一般観客を考えて作っていると思いますよ、本作にしても前作の『내가 고백을 하면(私が告白すれば)』にしても…しょぼく見えるのはやっぱり予算の問題でしょうし、映画監督として新人なので腕前も仕方ないと思いますが、決して不愉快な作品ではありません。ドロドロに【極私的な映画】という意味でならキム・ギドクやホン・サンスなんかの方が【濃さ】が遥かに上ですし、【不快指数】も高いでしょうし…」

サイゴウ
「まあ、前回も今回もまだまだアマチュアの領域を抜けていないけど、内容は健全で前向きだから確かにそれほど悪くはない。ただ、映画として面白いかどうかは、やはり別の話。それに会社としての【スポンジ】(※)って今、儲かっているのかな。昔は勢いがあったけど、最近はなんだか元気が無いように見えるから、ちょっと心配だ」
(※)資料によれば監督のチョ・ソンギュは(株)스폰지이엔티の代表を務めている。

サカモト
「【スポンジ】はブロックバスターに偏った韓国映画界でニッチ需要に特化して儲けた、なんて言われていた会社ですからね、チョ・ソンギュ監督は企業経営者として凄腕なのかもしれませんよ。配給する作品も良作が多いですし…」

サイゴウ
「日本映画の配給が多いので【スポンジ・ハウス】自体がだいぶ前から【準日本映画専門館】みたいになっちゃっているけど、それってオレたちも本当は応援すべき事なんだろうけどな」

サカモト
「そういう話はとりあえず脇において、作品自体の話に戻りましょう。今回は前作よりも【内輪ネタ度】が下がっていますから今後ニ、三本撮れば、映画として、もっとこなれた作品を作れそうな気がしました」

サイゴウ
「予算的な問題は仕方ないとしても、シナリオを監督自身じゃなくて思い切って別の人に任せたら、もっとよくなるんじゃないのかなぁ。既に作品からは独特のまったりとした風合いが漂って来ているので今の方向で押し切っちゃう手もあるけれど、それだと他のインディーズ系の監督とは違って毒気や不健全さが無いので、ちょっとマーケット的に苦しいかもしれないな」

サカモト
「でも、そうした独特の【健全さ】は韓国インディーズへのアンチテーゼにも見えますけどね。そろそろ、【普通の話と普通の感性】で世間に認められるインディーズ系監督と作品群が出て来てもいいと思うんですけど」

サイゴウ
「そこら辺の差別化戦略をどうするかは興行ビジネスとして辛いところだよな。でも、監督自身が資金集めをして、自社施設を使って映画を回して大損していないのなら手堅いということになるんだろう」

サカモト
「そこら辺の台所事情は、直接チョ・ソンギュ監督に聞いて見ないと分かりませんけどね」

サイゴウ
「今後どれだけ、【チョ・ソンギュ監督】という名前に対して固定ファンが付くかどうか、だよな」

サカモト
「でも、今回の『サンタバーバラ』を見た限りでは、それなりに映画的な見どころは増えていますし、地味ながらキャスティングもいいです。『내가 고백을 하면(私が告白すれば)』の場合、主演二人が有名過ぎたので、どうしても【今頃なロートル感】がありましたけど、今回のキャスティングは中堅どころといった感じだったので丁度良かったのでは?」

サイゴウ
「スギョン演じたユン・ジンソって女優はハタチぐらいの時の印象がオレ的には強くあるので【お久ぶり】感があったんだけど、実はコンスタントに仕事やっているんだよね。韓国ドラマなんて観ないから、そこら辺知らなかったんだけど…」

サカモト
「ジョンウ役のイ・サンユンもTVの方で活躍している人ですが結構映画にも出ています」

サイゴウ
「彼は全く記憶に無い俳優だったんだけど、そんなに悪くなかったよな。マッチョを売りにしていないので今回のようなインディーズ系の地味な映画が似合う俳優かも」

サカモト
「映画のお話自体は身も蓋もない日常的な物語を追っているだけであって格段凄いことが起こるわけではないし、アメリカでロケをしても映画的にパッとしていないのですけど、冴えない分だけ逆に男女関係の描き方はリアリティがあったと思います」

サイゴウ
「大人同士の恋愛って、やっぱりあんなもんだと思うよ。情絡みの仕事が二人の間に溝を作っちゃうところなんかは実際にもありがちだよね」

サカモト
「でも、広告代理店って傍から見ると何をやっているのか、第三者にサッパリわからないのは日本も韓国も同じですね」

サイゴウ
「そんなに細かく代理店の様子を描いているワケじゃないけど、外から観ればあんなものなのかもしれないな。でも音楽関係の仕事をリアルに映しているかといえばそうでもないので、各人仕事のディティールについてはあくまでも物語を進めるための状況設定だな」

サカモト
「そういう不透明さは前作も同じでしょう」

サイゴウ
「でも、実際の仕事の様子を細かく具体的に描写することは、映画において非常に大切な事だと思うので、どうせ、これからも内輪ネタを続けるのなら、【映画館で働くアルバイトの話】だとか【地味なアート・フィルムを買い付ける配給会社の話】を細かくやったら面白いんじゃないのかな?」

サカモト
「それって、褒めているのか、けなしているのか、よく分かりませんけども…」

サイゴウ
「別に嫌味じゃなくて、内輪ネタであっても徹底してやることが必要じゃない?ってこと。例えば今回もパク・ヘイルやキム・テウが劇中ゲストで出てくるワケだし、【スポンジ・ハウス】でロケ撮をやっているんだけど、毎回作品の中でそれを繰り返すことでチョ・ソンギュという人の【映画監督としての個性】と【お約束】になりうるんじゃないだろうか?それって、結構重要だと思うけどな」

サカモト
「いやあ、事情を知らない一見のお客さんにすれば、【なんだ、こりゃ?】で引いちゃいますよ」

サイゴウ
「たぶん、チョ・ソンギュという人は立場上メジャーとは対極の場所にいる映画人だと思うし、韓国映画界におけるメジャーとインディーズの溝は想像以上に深いらしいから、どうせブロックバスターなんかやらないのなら、そういった【お遊び】的なことにこだわった方が観客としては愉快だし、それを許されるのがインディーズ系映画の大きな武器だと思うんだけどね」

サカモト
「どちらにしても映画監督としてのチョ・ソンギュという人を、ちょっと見守っていたい気はしますね」

サイゴウ
「あんまり期待はできないけどね…」

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