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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『我が家族』(2013)★★ [韓国映画]

原題
『우리가족』
(2013)
(韓国一般公開 2014年7月24日)
★★

英語題名
『Our Family』

日本語訳題名
『我が家族』

urikazoku2.jpg

(STORY)
かつて脱北者の教育・更生施設でボランティアとして勤めていたキム・テフン氏は、現在、脱北した少年たちを援助する私設グループ・ホームを周囲の反対を押し切って自主運営している。

一緒に暮らす少年たちの食事を作るのも、家の掃除をするのも、彼らに勉強を教えるのも、全て彼一人。
そのためか、40歳過ぎた今でも独身だ。

面倒を見ている少年たちは年齢も生活経験もバラバラだったが、皆兄弟のように仲がよく、カメラの前では瞳を輝かせながら、自分の将来について饒舌に語り続ける。

やがて、歳の離れた小学生の男子を新たに迎えた一行は、韓国を出て、ボランティア活動の為、ラオスへと赴くことになる。

実際に韓国で脱北少年たちのグループ・ホームを運営しながら共に暮らすキム・テフン氏と、彼の「子供」たちの姿を、一年以上の歳月をかけて密着取材したドキュメンタリー。
サカモト
「描いているテーマ自体は有意義でとてもいいものだと思うのですが、日本ではTVの深夜枠で【こそっと】放送するようなタイプの作品ですね。映画の冒頭に出てくる脱北した少年たちのインタビューが、日本における北朝鮮のイメージと、ちょっと異なるニュアンスがあったりして興味深いのですが、映画としては厳しい内容だったと思います。部分的に光るものはあるのですが…」

サイゴウ
「韓国じゃないと製作出来ない作品ではあるんだけど、これもまた、【対象を追ってみたら、ネタが無かった】系ドキュメンタリーだな。撮影に15ヶ月かけたらしいけど、残念ながら水増し感が否めない。上映時間85分でも、えらく長く感じたし。特にラオスに行くエピソードがそう。現地に着いてから【ここでは北朝鮮から来たことを言うな】と、少年たちが予め注意されるところなんかは、日本では想像しにくい現実が出ているんだけど、とにかく観ていてだれる。【ラオスでどったら】なんてことよりも、韓国における脱北した少年の日常、特に学校での生活を、もっと観たかったな」

サカモト
「でも、そこら辺は、やはり撮影が難しかったんでしょう。少年たちの学校生活について全然出てこない訳ではありませんが、かなり制限があった気配を映像から感じましたから。少年の一人が生徒会に立候補するくだりは、詳しく撮りたくても撮れなかったのではないでしょうか?」

サイゴウ
「こういうドキュメンタリーって、製作者が取材対象から最初に受けたインスピレーションや興味が、実際やってみると題材としてうまく機能しない、ってことは珍しくないよな。観終わって、【ああ、いい話だったね。それで?】で終わっちゃうことが多いんだけど、この作品も残念ながら、そっちの方」

サカモト
「カメラ側の腰がちょっと引けている感もありましたね。それゆえ、対象が内に抱えるエゴが見えてこない。そこら辺、演出側も礼儀正しすぎたような気もします。少年たちを預かっているキム・デフン氏については、もっと私生活を追ってもよかったような気がします」

サイゴウ
「それについても、面白いシーンを撮れなかったのかもしれないな。個人の生活は、これまた案外つまらないもんだ。それより、十代の少年たちが、おっさん独りの世話の元で共同生活しているワケだから、本当なら各自のエゴの発露なんか物凄いと思うんだけど、そういうのが一切出てこないことの方が、かなり気になったよ。基本的に、みんな従順でいい子ばかりではあるんだけど、それって少し妙だ。歳が歳だから、性欲やヘゲモニー争いが凄まじいはずなのに…」

サカモト
「撮影前に一家側と製作者側で何か約束があったのかもしれませんね。なにせ、彼らの周囲には無理解で心ない同胞連中も大勢いるでしょうし…一見ほんわか系に見えても、下手打てば大きな人権問題になりかねない内容ですから」

サイゴウ
「でも、そういう軋轢があるのなら、それを見せて欲しかったな。とは言っても、韓国では脱北者であることをカミングアウトして暮らすこと自体が難しいらしいし、おそらく公安側から常時チェックされているだろうから、作り手としては出来なかった事の方が多かったとは思うけど…」

サカモト
「そういう厳しい現実があるからこそ、彼らの暗黒面を映画から徹底して排除したような気もします」

サイゴウ
「でも、観客が一番観たいのは、そうした暗黒面。もっとも、こういうテーマが【ダークになりがち】というのは、一種の偏見かもしれないけどな」

サカモト
「ちょっと気になったのは、キム・テフン氏が独身中年男性であることに、なにか、作り手側の妙な拘りを感じたことです。やっぱり大の男が結婚しないで脱北した少年たちを独り献身的に養っている姿って、韓国社会では色々と勘ぐられているのでしょうね」

サイゴウ
「すぐ【ホモ!ホモ!】って、中傷して騒ぐ連中が韓国にはいるからな。でも、実際に独りであそこまで面倒みているとしたら凄いよ。それに、ああいう【激まめなタイプ】の男性って、日本でも韓国でも結構普通にいて、みんな独身だったりするから、実はそれほどヘンでもない。オレには絶対出来ないけどけどな」

サカモト
「一番印象的だったのは、少年たちが、とにかく屈託なくて明るい、ということでしょう。もちろん個人差はありますけど、全体的に優等生タイプが多かったですね。そしてキム・テフン氏のいうことをよく聞いているように見えます。でも、あまりに従順なので、日本人から観ると不信感や違和感を抱くかもしれません」

サイゴウ
「あそこら辺は、今の韓国でどんどん壊れていっている【親の言うことを聞かなければならない】という朝鮮的な美徳が、脱北少年たちの間には残っているということかもしれないけどな。テフン氏もだって、叱るべき時はきちんと叱っているし。北朝鮮って、感動するくらい純真な人が多いという話をよく聞くから、実際、それほど異常なことではないのかもしれない」

サカモト
「そして、映画に登場する少年たちは、皆仲もいいですよね。途中から小学生の子が新たに加わりますが、その面倒も非常によく見ています」

サイゴウ
「新しく入ったその子は従順なんだけど、始終とまどっていて心を中々開かない。そこに子供ながら北朝鮮で生き残るために必要だった処世術が垣間見えるようでもあり、ちょっと心が痛んだよ」

サカモト
「先輩格の少年たちにしてみれば、彼に脱北当時の自分自身を投影しているのかもしれません」

サイゴウ
「養父が彼らに対して勉強の面で厳しいところは【韓国らしい部分かな】なんて思うんだけど、あれって、韓国社会で生き残るための実際的な意味合いが強いんだと思う。【みんな、この国ではコネもカネも無いから、頼ることが出来るのは自分だけだよ!】という…こういう躾の仕方は日本の家庭でやらないことかもしれない」

サカモト
「それもまた、日本から見え難い韓国社会の現実なのでしょうけど…」

サイゴウ
「もし、この作品を日本で紹介するとしたら、やっぱりBS枠辺りで地味に放送することになっちゃいそうだけど、脱北少年たちの今後も絡めて、連作に出来れば、意味のあるドキュメンタリーになるんじゃないかな?」

サカモト
「少年たちが大人になった後、彼らの人生を個別に追ってもいいと思います」

サイゴウ
「それが出来て初めて、この作品は完結しそうな気がするよ」

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