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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『パイレーツ』(2014)★ [韓国映画]

原題
『해적: 바다로 간 산적』
(2014)
(韓国一般公開 2014年8月6日)

英語題名
『The Pirates』

日本語訳題名
『海賊 海を往く山賊』

日本公開時題名
『パイレーツ』
(日本一般公開 2015年5月22日)

kaizoku.jpg

(STORY)
時は1330年代、李成桂を初代国王に戴き、李氏朝鮮王朝が始まろうとしていた頃。

山には国命に反抗し、上官のモ・フンガプ(=キム・テウ)に重傷を負わせて逃亡した元高句麗の軍人チャン・サジョン(=キム・ナムギル)が盗賊として暮らしていた。

一方、海では女海賊ヨウォル(=ソン・エジン)が極悪非道な頭領ソマ(=イ・ギニョン)を追放し、新しいリーダーとして暴れ回っていた。

山賊と海賊、決して共闘するはずのない者同士だったが…

明朝から国璽を賜ったハン・サンシル(=オ・ダルス)が海路を経て国へ戻る途中、ザトウクジラ親子をおちょくったことから、船を沈められ、国璽を母クジラに飲み込まれて奪われてしまうという大事件が起こる。

サンシルは責任逃れのために官僚チョン・ドチョン(=アン・ネサン)と口裏を合わせて、海賊に国璽を奪われたことにしてしまったことから勅命の海賊狩りが始まった。

国璽がクジラに飲み込まれた噂を聞きつけたサジョンはヨウォルの元部下で船酔いのひどいチョルボン(=ユ・ヘジン)を顧問にして国璽奪還戦に加わるが、海賊討伐隊の指揮を執ることになったのは幽閉されていたフンガプだ。

濡れ衣を着せられたヨウォルたちも自分たちへの疑いを晴らすためクジラ捜索を始めるが、国璽を呑み込んだのは、かつて幼いヨウォルを救ったクジラだった…

そしてヨウォルたちの前に死んだはずのソマが立ち塞がる。

李氏朝鮮王朝建国当時、長期に渡って国璽が無かったという史実に基づき描かれる、軍隊、海賊、山賊の国璽奪還お笑い大乱戦。
サカモト
「映画の出来栄えはかなり【アレ】で、韓国嫌いからすれば相当なうんざり系なのですが、物語のユニークさではちょっと評価したい気もする毛色の変わった作品だったと思います。今の韓国だから成し得た珍作といったところでしょうか」

サイゴウ
「面白いか否かは観る人それぞれだけど、点数を付けるとすれば30点程度のひどい映画。だけど、【デート&ダチ連れ】か【ガキ連れ&家族連れ】映画としてはピッタリなので、とりあえずオレ的には商品として【アリ】としたい。全然笑えなかったけどな」

サカモト
「笑いのセンスが【ベタ】というより時代遅れな印象です。もしくは、あまりにもお子様向けというか…一応12歳以上という軽い年齢制限はありますけど。暴力まみれですから当然ですが…」

サイゴウ
「ちょっと前の児童映画企画に投資家たちが騙された、って感じだな。ちゃんと子供向けで作っていたら、もっと面白かったような気がしないでもない」

サカモト
「誰が観ても【ありえないだろう!】的な世界観の中で、これまた【ありえないだろう!】的な朝鮮海賊が活躍するという奇想天外さでは娯楽映画の王道を行っていたと思います。マーケティング的には『パイレーツ・オブ・カリビアン』辺りと重なる層を狙ったと思うのですが、それをそのまま韓国映画のフォーマットでやってしまったところに、ちょっと意表を突かれました」

サイゴウ
「なにせ一般的な海賊のイメージって韓国の歴史では、ちょっと考えられないものだからな。韓国映画でやろうとしても、めちゃめちゃになる可能性の方が高いし、作り手としては今まで自主ブレーキを掛けていたんじゃないだろうか?史実に沿ってやれば【カッコイイ海賊】じゃなくて【ダサい倭寇】の話になっちゃうだろうし。それじゃ韓国的に色々と都合悪いだろう」

サカモト
「そこら辺もまた、『パイレーツ・オブ・カリビアン』が良い手本になったのではないでしょうか。【なんでもOKな海賊像】が巷で認知された今だからこそ、【朝鮮時代を舞台にしても勝算がある】という計算が成り立ったと思います」

サイゴウ
「まあ五年前なら、ありえなかったような企画。そもそも、まともなシナリオが思い浮かばないと思うんだけど、映画の方向を徹底してコミカルなバカ・幼稚系に偏らせたことで、韓国人としてギリギリの歴史的リアリズムをなんとか強引に組み込ませた、という感じだな」

サカモト
「そこら辺も相当メチャクチャですけど、【そういう映画だから仕方ない、許そう】で納得させてしまう力技の連続、それは素直に評価したいです。日本ではアニメーションでもここまで強引なデタラメ話は非常に難しいと思います。【馬鹿話】というものは作る側が【馬鹿】から離れないと出来ませんから、企画的には高度な作業だったのではないでしょうか?『~海を往く山賊』という副題も映画の内容そのまんまで全然シャレになっていないのですが、【人々の注意を惹く】【分かりやすい】という点ではマーケティング的に賢い題名かもしれません」

サイゴウ
「韓国ではたまたま、『鳴梁』の公開時期とほぼ重なってはいたんだけど、両者は【クソ真面目】と【ウルトラ馬鹿】に徹底することでうまく棲み分けたって感じかな?結局2014年の夏休みに並んだ時代劇同士三つ巴の戦いは大手興行の共闘路線から外れてしまった『群盗』が一番損した形になってしまったけど、今の韓国における映画配給事情の縮図みたいだったな」

サカモト
「ただ、『パイレーツ』にしても『鳴梁』にしても意欲的な大作は出来が最悪に陥りやすい、というルールがそのまま当て嵌まったような映画でもありました。両方とも客が入ったからいいものの、コケていたら、かつての『天士門』や『Are you ready?』並みの大失敗&珍作になっていたと思いますし、完成度は、それら伝説の駄作といい勝負」

サイゴウ
「【出来の良い悪い】だけで言えば、この『海賊』も大ヒットした『鳴梁』も夏休み興行から弾かれちゃった『群盗』も、どっこいどっこいだよ。今思えば『群盗』の作品性が最も高かったとは思うけど三作品ともドングリの背比べ。ただ、全作品に共通して言えるのは【映像の凄み】という点で【韓国映画が行くところまでいっちゃったかも?】ということかな?今の日本映画における大作のチャチさが改めて悲しくなった」

サカモト
「十五年前、二十年前の韓国映画の状況を思うと今は想像出来ないレベルになっていますからね」

サイゴウ
「なので、【内容的にはアレ】でも、この『海賊』もまた、料金には見合う映像にはなっていたと思う。まあ、日本人としては開き直って観ることを薦めたい。あくまでも【韓国式VFX映像の大乱舞だけ楽しみましょう】って感じだな」

サカモト
「そもそも韓国の時代劇と日本の時代劇を比較して優劣を主張し合うこと自体ズレていますからね。求めるものが違うのですから…」

サイゴウ
「【どうせ事実は誰も知らないから先に創作したもの勝ちだ!】みたいな思想が韓国の時代劇にはあると思うぞ。そして、まだまだ韓国社会はそういう段階にあると観るべきなんじゃないだろうか。そういういい加減さがTVにしても映画にしても韓国歴史物のレベル向上に大きく貢献したと思うし、それによって有望な作り手が育っていることは否定出来ない。逆に日本だと観る側が史実に拘り過ぎて純粋に楽しめなくなっていて大衆の娯楽としての時代劇はしぼみ続けているんじゃないかな?歌舞伎だって新作以外は昔ほど破天荒な演し物をやらなくなっているように思うし…日本で映画が沢山作られていた時代は『海賊』のようなバカ系時代劇も同時に作られていたと思うんだけど、それが出来なくなってしまった事の方が日本人として憂えるべき問題なんじゃないか?」

サカモト
「韓国の歴史物は最近よく日本で反韓・嫌韓の象徴として槍玉に上がっていますが、韓国人の多くが自国の歴史ドラマを信じている訳ではありません。もちろん信じているように見える人もいますが、それも結局は【韓国人の歴史に対する無関心さ】の裏返しであり、過去が彼らの多くにとって一過性のどうでもいい事象にしか過ぎない、という象徴のような気もします」

サイゴウ
「韓国でお金を掛けた時代劇が盛んに作られるようになったのはホント、ここ十五年くらいの話。『チャングム/大長今』のヒットが一つの契機になっているワケだけど、だからといって巷の歴史への関心&理解レベルが上がったかと言えば、どうにもそうとは思えないよな。だからこそ、韓国社会に不満を唱える若者たちは、誰かさんたちの唱える口当たり良い民族主義的プロバガンダに動かされやすくなっているとも言えるんだけどさ」

サカモト
「この『パイレーツ』に対して、あえて【反韓・嫌韓】的な批判をするとすれば、朝鮮時代初期の【国璽が無かったネタ】のあまりにも出鱈目な解釈ということになるのでしょうけど、それもちょっと思考が硬直しすぎでしょう」

サイゴウ
「コメディネタのこじつけとしては、いい意味で逆によく考えられていたんじゃないかな?今の日本映画ではありそうにない発想かも?」

サカモト
「今思えばですが、この『パイレーツ』は反面教師みたいな娯楽作だったのかもしれませんね。映画批判なんか忘れて観ている刹那だけ楽しみ、終われば綺麗さっぱり忘れておしまいという…そういう意味でも絵に描いたような娯楽映画の手本だったのかもしれません」

サイゴウ
「オレ的には上映時間が長すぎて退屈だったし、キャストもひどすぎてうんざりしたけどな」

サカモト
「確かにソン・エジンはひどいミスキャストでしたね。韓国映画史に残りそうなくらい無残でした。彼女がこういう映画で女海賊を演じるという発想自体は予想を超えることなので面白いとは思うのですけど、それだけ。彼女もまた、三十過ぎて低迷していることを切実に体現しているようでもあり、とても悲しくなりました」

サイゴウ
「キム・ナムギルも演じる役が役なので、そのお約束的オーバーアクションを観ている時は【これはひどい!】と思っていたんだけど、彼のキャリアを調べて見れば元はどちらかと言えばハード系、端役だけど意外な作品に多く出ていたので驚いた。それほど上手な役者じゃないけど、今回の割り切りすぎた演技は【ちょっと応援してもいいかも?】」

サカモト
「この『パイレーツ』は【救い難いひどい映画】ではあるのですが、【大衆娯楽としての映画】という原点を考えた時、日本映画もちょっとだけ、このベタな【くだらなさ】を参考にしてもいいかもしれません」

サイゴウ
「そんなこというと日本でこの映画を観た人たちから【バカ野郎!金返せ!】って、恨まれちゃうぞ」


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