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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『シャトルコック』(2013)★★ [韓国映画]

原題
『셔틀콕』
(2013)
★★
(韓国一般公開 2014年4月24日)

英語題名
『Shuttlecock』

日本語訳題名
『シャトルコック』

勝手に題名を付けてみました
『終わらない旅路』

syatoru2.jpg

(STORY)
17歳のミンジェ(=イ・ジュスン)は両親を事故で失い、残された腹違いの姉ウンジュ(=コン・イェジン)とその弟ウノ(=キム・テヨン)たちと暮らしていたが、ウンジュは遺産を持ち逃げして行方不明になっていた。

収入を絶たれ、生活が困窮してゆく中、ミンジェは僅かな手がかりを元に、ウンジュを探す旅に出る決意をする。

独りで自動車に乗り込むミンジェだったが、知らない間にウノが乗り込んでしまったことから、慶尚南道・南海を目指す無免許高校生の危うい旅が始まった。

孤立無援の中、身分を偽りながらウンジュを探すミンジェは、苦労の末、スーパーで働くウンジュと再会するが、彼女は妊娠しており、ソウルに戻ることを拒絶する。

ミンジュに彼女を連れ戻す力はなく、無邪気にはしゃぐウノを置き去りにしたまま車を発進させるが、その行く先には暗い夜道が続くだけだった。
彼の未来を象徴するかのように…

社会との繋がりを絶たれた少年たちが紡ぐ絶望の構図。
サイゴウ
「若手のインディーズらしい作品だった、と言えばその通りなんだけど、それゆえの隘路に嵌ったような映画でもあったな」

サカモト
「新人とは思えないくらい、人の描き方には深みと凄みがあるのですけど、デビュー作でエネルギーを吐き出し切ってしまって、後が続かないタイプかもしれませんね、監督のイ・ユビンという人は…」

サイゴウ
「韓国映画芸術アカデミーで製作した『バスクン(파수꾼)』が高評価されてから、韓国では産学共同企画の作品がぞろぞろ登場して来ているんだけど、いつも生真面目過ぎて深刻な内容ばかり、もっと根っ子の部分でエンタティメント志向じゃないと危うんじゃないのかな?今回の『シャトルコック』もそんな危うさがあった」

サカモト
「韓国映画芸術アカデミー系は特にそうかもしれませんね。作り手の頭の良さは凄く感じるのですけど、どこか、袋小路に陥っている印象をよく受けます。結局、デビュー作がいくら優れていても、次へ次へと作品製作を繋げないと意味がないとも言える訳ですから、そういう点でも、今回のイ・ユビン監督は、本当の勝負時に苦戦を強いられそうな気配を感じさせる内容の作品でした」

サイゴウ
「エンタメ志向の『レット・ミー・アウト(렛 미 아웃)』が世間で無視されたことと、なんだか対照的だな。これからも、『シャトルコック』みたいなガチ生真面目系ばかりがラインナップに並んじゃうと、観客としては若手のインディーズ作品に対して、覚悟が必要になりそうだ」

サカモト
「その点、シン・スウォン監督の『冥王星(명왕성)』は【いいとこ取り】でしたよね。大変バランスが取れていた作品でした」

サイゴウ
「もっとも、新人の映画ではないから、『シャトルコック』と同列に並べられないと思うけどな」

サカモト
「『シャトルコック』も低予算のデビューの作品らしく、退屈なやりとりが全編ダラダラと続きます。それと【若者の絶望と困惑】が大安売り。そういう方向に振ってしまう気持ちを分からなくはないのですけど、やはり観客としては両手に歓迎しかねるのが正直なところ」

サイゴウ
「しかも、絵に描いたようなロードムービーだし。まんま、インテリ映画青年っぽい内容だよな。演出力は新人として、むしろ傑出している方だから、技量の高さは率直に認めるけど、観客として、観ていて【乘れる】かどうかは別の話。だから、手放しでは褒められないモノがある」

サカモト
「ただ、主流から外れた枠組みにある企画だったからこそ、今の韓国で撮れた映画とも言えますし、自分がもっと若くて、例えば高校生ぐらいだったら、共感して嵌っちゃうような生々しい感性が、作品にあったと思います」

サイゴウ
「でも、そこが最大公約の客を対象にした時、微妙なラインになってしまう。それじゃ、【目の肥えた映画好きなら認めてくれるか?】と問われても、それまた、ちょっと疑問。大げさにいえばイングマール・ベルイマンの系列にある作品なのかもしれないし、イ・チャンドンやシン・ドンイルといった韓国映画の系譜を継ぐ感じはするんだけど、監督のイ・ユビンにとっては、どれだけ自分の周辺ネタから離れた問題に取り組めるか、描けるかの方が、これから映画監督として生き残れるか、否かの境目になるんじゃないかな」

サカモト
「でも、俳優の使い方については特筆すべきものがあった事は認めたいです。演じている俳優も優れていましたが、彼らの微妙な部分を上手に引き出していたのではありませんか?基本的に全編、ミンジェ演じたイ・ジュスンの一人芝居に近いのですが、破綻していないし、最後まで張り詰めた空気感が続きます。子役のキム・テヨンも非常に素晴らしい。これって、俳優たちの力だけではなくて、監督の才能も感じますし、女性監督ならではの艶かしい繊細さもあったと思います」

サイゴウ
「でも、姿をくらます姉ウンジュは結構トホホだったので、それが難点かな。まあ、演じたコン・イェジとイ・ジュスンンの大きな技量差もあるんだけど、なんだか扱いが冷たかった。ウンジュという役は、この映画のミステリアスな要素を支えるキーキャラでもあるんだから、もう少し演出的に熱があってもいいキャラだった。彼女が姿をくらました後のウンジュ周辺の描き方がもっと丁寧であれば、異色の青春ハードボイルドになる可能性はあったと思う」

サカモト
「ウンジュに限らず、どのキャラも突き放して描いていますし、余計な説明や台詞による心情説明を極力避け、アンハッピーに徹した演出は、確かにハードボイルド的かもしれませんね。それが意図的であったのか、結果的にそうなったのかは分かりませんけど…」

サイゴウ
「ただ、そういう【ひねくれた部分】も、若さゆえ、って気がする。デビュー作でこういうスタイルをやるクリエイターって、そり合わないように見えるメロとかコメディとかを苦悩して手掛けた方が、意外といい作品を撮るんじゃないだろうか?」

サカモト
「最初のメジャーオファーは、多分ホラーか、サスペンスっぽい気がしますけどね」

サイゴウ
「でも、それはそれで観てみたい気にさせる才能ではあった。『シャトルコック』が映画として面白いかどうかは別にしてだけどな」


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