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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『シヴァ、人生を投げて』(2013)★ [韓国映画]

原題
『시바, 인생을 던져』
(2013)
(韓国一般公開 2013年12月19日)

英語題名
『SHIVA, Throw Your Life』

日本語訳題名
『シヴァ、人生を投げて』

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(STORY)
TVディレクターのピョンテ(=パク・ギドク)もまた、混沌としたインドに惹かれた韓国人の一人だった。
故郷に住む保守的な父親と確執を残したまま、カメラマン兼助監督(=イ・ジョンググ)と共に作品を作るべく、インドで現地取材を続けるが、毎日が想定外のトラブル続きだ。

独り放浪するハンナ(=スヒョン)もまた、この地のカオスに呑み込まれた女性だったが、故郷に帰る意思など半ば捨てていて、同胞にも冷たい。

一方、家出したスニョン(=イ・ミラ)は夫と子供を残してインドにやって来たが、全てが恐ろしく、因縁の電気ジャーを抱え、独り途方に暮れていた。

目的も立場も動機も異なる四人の韓国人。
だが、インドの地が四人を運命的に結びつけてゆく。

やがてピョンテとハンナの間に愛が生まれ、スニョンは人生をやり直す決意をするが…

韓国とインド、その異なる生死観を背景に描く、それぞれの人生模様。
サカモト
「ドキュメンタリー映画『懐かしの人力車(오래된 인력거)』で脚光を浴びたイ・ソンギュ監督の新作ですが、やっぱり今回もインドを舞台にしています。場所はカルカッタではなくて、デリーが中心ですけど」

サイゴウ
「この監督にとって、インドってところはホント、創作意欲をかき立てられる場所なんだろうな。そういう気持ちが映画からは、ひしひしと伝わって来る」

サカモト
「今度はドキュメンタリーではなくて劇映画、生死観の違いや宗教的価値観を重点的に描いているところは、熊井啓の後期作『深い河(1995)』にちょっとですが、重なります」

サイゴウ
「でも、オレは基本的に今回の作品は、【劇映画の体裁をとったドキュメンタリー】だったと思うよ。『懐かしの人力車』は逆だったけど…【インド】という場所の空気感を生々しく伝えるべく、あくまでも【道具立て】として劇映画にしたんじゃないだろうか?そうすることで、『懐かしの人力車』で気になった高飛車なカメラ目線は低くなったといえるし、架空のキャラクターを介することで、作り手が感じたであろう皮膚感覚を観る側へ伝えることに成功していると思う。物見遊山なスタイルのドキュメンタリーじゃ、インドの裏路地の汚さとか、インドを彷徨う韓国人の姿とか、火葬場の雰囲気だとか、意外と伝わらないのかもしれないな」

サカモト
「作り手が【見たまま、聞いたまま、嗅いだまま】のダイレクトな感覚を映像で再現するために、あえて劇映画にした、ってことですか」

サイゴウ
「そうじゃないかと思うんだけどね。劇映画にすることで、いらない部分もかなり感じたけど、それはそれで、監督の頭にある妄想やらイメージを象徴していただろうしね」

サカモト
「劇中の主人公とその父親の関わりなんかは、その一例かもしれませんね。一番いらないエピソードでしたけど、監督の原体験と韓国の観客を結びつけるための方便だったのかもしれません」

サイゴウ
「あれは、韓国的な生死観とインド的な生死観を対比させたら面白いかも?という発想から来ていたんじゃないかな。この映画の物語に必要のない余計なエピソードだったとは思うけど、インディーズだから許される無駄さ加減とも言えるし、監督の極私的視線というか、頭の中を伝えるためだと考えれば、決して無意味じゃない。それに、いくら異常に見えても、インドもまた同じ人間が暮らす場所ってことを、生死観を描くことで伝えたかったんじゃないだろうか」

サカモト
「ただ、劇映画として純粋に観てしまうと、この上なくつまらない作品でしたけどね。何よりも古臭いですし…」

サイゴウ
「だから、その【古臭いドラマ】という部分こそ、隠れドキュメンタリーとしての側面というか、本来の目的を光らせるための演出だったと、オレは思うワケ。劇映画だから、一見、登場人物たちの行動が映画の中心にあるように思えるけど、その裏に何気で映っているものこそ、ホントのテーマだったんじゃないのかな?だから、両方を頭の中で分離して観ちゃうと、実は更に面白くなかったりするし、逆にいつもそれらを意識して観ないとダメな映画かもな」

サカモト
「そこら辺の微妙過ぎるというか、分かりにく過ぎる部分が、この作品の特徴なのかもしれませんね」

サイゴウ
「確かに純粋な劇映画として観ちゃうと、ホントにひどい内容で【今どきこれはないだろう】なんだけど、【劇映画に偽装したドキュメンタリー】であると穿って読み解けば、インドで馬鹿みたいにウロウロしている韓国人にも、それぞれの事情があって、韓国から離れてインドで暮らすことが、彼らの人生観に大なり小なり影響を与えうる、そしてそれは良いことなんだという主張というか、言い訳を描こうとしているようでもあるし、そこら辺の弁解がましさがいかにも韓国らしくて、この作品の一番面白い部分だったとは思うよ」

サカモト
「単体でこの作品をいきなり観るよりも、前作『懐かしの人力車』を予め観てからの方が、監督や作品の持つ特性みたいなものが、より分かりやすいかもしれませんね」

サイゴウ
「まあ、韓国のインドマニアが作った、韓国のインドマニアの為の映画って感じじゃないのかな?ただ、やっぱり劇映画としては、なんとか許せるレベルといったところではあったけどね」

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