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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『第4イノベイター』(2014)★ [韓国映画]

原題
『제4 이노베이터』
(2014)
(韓国一般公開 2014年12月18日)

英語題名
『The 4th INNOVATER』

日本語訳題名
『第4イノベイター』

D4.jpg
製作&配給:삼라 주식회사

(STORY)

時は現代。
日本が国際市場で欧米企業相手にブイブイ言わせていた頃、そのご相伴を横から与ろうと、韓国の中小企業がこぞって日本進出を狙っていた!

韓国の貿易会社で働くヨンミ(=チョン・ジュヨン)は、女手一つで子供二人を育てているシングルマザー。
日本経済の狂った上がり調子に注目し、一攫千金を狙って日本支社へ単身で転勤、東京で暮らすことになった。

冷静な日本人ビジネスマンを相手に、ヨンミは口八丁の交渉ぶりで出来ないことを【出来る!】と断言して強引に仕事を取り、しばしば、その虚言で自分たちの首を締めることもあったが、韓国社会と韓国人に理解のある、とても優しい日本人フジタさん(=トッコ・ヨンジェ)らに支えられ、仕事の実績を積み上げて行き、遂に社長まで登りつめる。

社長になっても相変わらず強引かつ身勝手な口実でビジネスを繰り広げ続けるヨンミだったが、相手が非常識な位に寛大でお人好し、理解あり過ぎる日本企業だったからか、致命的なトラブルにはならず、彼女の会社は成長を続けてゆく。
だが、その裏には、いつも親切なフジタさんの隠れた支えがあった。

野望に燃えるヨンミは、日本の鉄道メンテナンス技術に注目し、それを自分の会社で独占して、韓国内で事業展開しようと画策する。

遂には祖国を捨て、日本国籍を取得するまでに至るヨンミだったが、彼女が進める日韓友好の共同ビジネスを妨害する最大の敵は、ほかならぬ韓国内の同胞たちだった!

やがてヨンミは、恩人フジタさんが病に倒れ、余命いくばくもないことを知る…

サイゴウ
「ソウルにある映画館の中でも、【ソウル劇場】と【大韓劇場】って、ちょっと、そのポジションが独特だよな。今は韓国の映画館群がほとんどシネコン化してしまい、実質、CGVとロッテ、シネスの三つ巴戦になっているワケだが、そのせいで、江北のヒドイ二つの老舗映画館の個性が際立っているとしたら、皮肉なもんだ」

サカモト
「【ソウル劇場】も【大韓劇場】も、度重なる改装を繰り返して、表向きは綺麗になり、昔はヤクザまがいだった従業員のマナーもだいぶマシになって来ていますが、それでも、今のソウルでは通用しない【名前だけ有名な映画館】と化して久しいです。韓国の映画ファンの間でも評判が悪い」

サイゴウ
「これらの劇場に足を向けるのは、その実体と悪評を知らない、もしくは気にしない外国人とか田舎の年寄りばっかり、みたいな印象があって、昔の栄光は微塵もないように思える。特に【大韓劇場】は、あのイカれた【韓流ブーム】の際、日本人相手の【ぼったくりイベント】によく使われていたよな。そうした悪質な映画館が、今もソウルの一等地でずりずりと経営を続けているのは解せないんだけど、その代わりというのもなんだが、昔のソウルの映画館の雰囲気を、良くも悪くも残していたりする」

サカモト
「それでも、出来る限り行きたくない映画館の代表格ですけどね」

サイゴウ
「その代わり、これらの劇場は、韓国映画界の古いネガティブな勢力と繋がりがあるらしく、韓国内の配給網から完全にはみ出した、インディーズ系劇場ですら掛けてくれないような、珍作、奇作が突然上映されることがあって、そこだけは、唯一侮れない映画館でもある」

サカモト
「宗教団体の傘下に入った【FILM FORUM】にも、そんな傾向がありますけどね」

サイゴウ
「今回紹介する『第4イノベイター』も、何の前置きもなく【ソウル劇場】で上映が始まって、短期間で終了した映画なんだけど、ホント、素性の分からない謎の映画だよ」

サカモト
「映画で描いていること自体は真っ当なんですが、今頃何が目的で製作され、何のために上映されたのか、さっぱり分からない内容です。娯楽系でもないし、アート系でもないし、強いて言えばなんらかの【啓蒙系】。映画のことを全然知らないお金持ちが気まぐれで映画製作に乗り出したのはいいものの、上映してくれる劇場が見つからなくて、コネで辿り着いたのが【ソウル劇場】だった、みたいな感じですか」

サイゴウ
「客から銭取って見せるような映画じゃないよな。個性的な珍作ではあるけれど…博物館とかパビリオンでよく掛かっている【企業アピール物】もしくは【社会科の教材】といった感じの内容。しかも、演出がえらく古臭い。まさに1970年代から1980年代にかけての【韓国映画スタンダート】といったスタイルなんだけど、これって、2014年の作品なんだぜ。まるで過去から壊れたタイムマシンに乗ってやって来たような映画」

サカモト
「最近の若手クリエイターに【同じようなテイストで撮ってみろ!】といっても、難しいでしょうね」

サイゴウ
「監督のハン・ミョングという人物も調べてみたけど、素性がよく分からない。元々は俳優で、1980年代には結構活躍していたらしく、エロ映画も撮っている。『第4イノベイター』の前、2007年に一本、監督作が公開されているけど、オレ知らねーぞ」

サカモト
「監督のハン・ミョングという人が、韓国映画界で最も活躍していた時代を考えれば、今回の『第4イノベイター』が、【腰を抜かすくらい】古臭いのも、ちょっとだけ納得なのですが、それでも何が目的で作られたのか、さっぱり分からない映画であることには変わりません」

サイゴウ
「1980年代の韓国映画って、韓国内でも、その実体がちょっとブラックボックスみたいなっているところがあって、その闇を『第4イノベイター』にも感じた。しかも、上映したのがソウルでは【ソウル劇場】だけだった、というのが怪しさを倍増させる」

サカモト
「映像がえらく安っぽくて、TVドラマよりチープですし、唐突な展開と、尻切れトンボの不可解な結末は、昔の児童向け特撮映画『勇者 パンダル仮面』(용사 반달가면)を思い出しましたよ」

サイゴウ
「もしかして、1970年代から1980年代にかけての韓国映画って、こういう作劇がスタンダードだったのかな?そう考えると映画史的には面白いけど…」

サカモト
「日本と韓国の関係を真面目に描いていることはありがたいのですけど、今の観客にこういうものを見せても【なにこれ?ポッカーン】でしょうね。それに、わざわざ東京その他でロケをやっているのに、全然見せ場になっていない」

サイゴウ
「日本の鉄道メンテナンス技術を、韓国企業に提携するエピソードを介して、日韓ビジネス史を描いた話だから、日本や日本人がバンバン出てくるのは不思議じゃないけど、時代感が物凄くズレている。おそらく、この映画を画策した中心人物は、日本と仕事上の強い関係をかつて持っていて、最近の険悪な日韓関係を憂いたあまり、『第4イノベイター』を製作したんじゃないかと疑っているんだけど、集まったスタッフがロートル過ぎて、結果的に目的不明の怪作になってしまったんじゃないのか?」

サカモト
「【日韓お互いに仲良くやって行けるんだぞ!】とか、【韓国人は日本をバカにしてはいけないぞ!】みたいなメッセージは確かに感じますけどね。といっても、韓国側からの偏向した一方的なものですけど…」

サイゴウ
「でも、今頃そんなことをやったって、誰も観ないし、劇場でも掛けられない。それが、【ソウル劇場】での年末ドタンバ限定公開だったんじゃないのか?あくまでも推測だけどな」

サカモト
「この映画をあえて褒めるとすれば、日本人と韓国人の仕事のやり方や、気質の違いみたいなものが、よく出ていた点だと思います。特に、ヒロインのいい加減な通訳と調整役ぶりは苦笑してしまいました」

サイゴウ
「韓国側担当者が出来もしないコンテナの納品を、調子に乗って安請け合いしてしまい、韓国に戻ったらやっぱり自分たちのところでは出来ないので、他の同業者を探して右往左往、というのはありがちな【韓国パターン】だな」

サカモト
「日本のクライアントに【自分たちの企業は小さいから、他の韓国大手と違って小回りが効くんです!】って、一方的にがなりたて、それを日本の担当者は黙って我慢強く聞いているという様子もそうですね」

サイゴウ
「現実的には、日本と直接取引をしている韓国の担当者は、ちゃんと日本側に敬意を以って、それなりに真面目に商売をやっているし、この映画でも、そこら辺は同じなんだけど、そういう韓国企業に対して、外野からチャチャ入れて足を引っ張っているのが【当の韓国人だった】というオチも笑えたよ」

サカモト
「そんなことばかり繰り返しているので、ヒロインは日本国籍取っちゃったのじゃありませんか?自分たちの首を締めている同胞連中に呆れてしまって…シナリオ作りには、当事者に近い人がアドバイスしていたのではないでしょうか?」

サイゴウ
「韓国と取引した経験のある日本人なら、この映画を観て、ますます韓国が嫌になっちゃうかもしれないな。そういうリアルさはある。ヒロインが日本語通訳から業界に入って実績を積み、やがて会社社長に成り上がって、最後は日本に帰化してしまうという展開も、それほど荒唐無稽じゃないだろう。ただ、それって、今の韓国社会では【それって、韓国人としておかしいだろ!この親日野郎め!】みたいに攻撃されちゃう部分でもあるので、映画の舞台になった時代と今は別物だと意識して鑑賞しないと、危ないよな」

サカモト
「一応、ひと昔の話であることは説明されていますけど、時代考証が徹底していないので、【あれれ、いつの時代の話?】みたいになっていますからね。素性不明の韓国映画ですから、仕方ないですけど」

サイゴウ
「でも、そのチグハグさとトンチンカンぶりこそ、この映画が怪作の怪作たる所以でもあるし、分かる人にはキッチュな面白さがあるとは思うけどな」

サカモト
「キャスティングは爺さん、婆さんばかり。唯一映画前半部でヒロイン役を演じたチョン・ジュヨンという人だけが、そこそこ若いんですが、どこの誰やら素性の分からない女優だったりします。それも、この映画の持つ【謎】の一つ。そして、後半部ヒロインを演じたチョン・ラモも、同じく【謎の女優】だったりします」

サイゴウ
「世間で顔が知られている俳優は、おそらく、【サイトウさん】演じたトッコ・ヨンジェくらいじゃないの?チョン・ジュヨンやチョン・ラモの二人については、【日本語が出来る】という安易な理由で選ばれただけ、みたいな感じもするし、そういうキャスティングの仕方は実際あるからな」

サカモト
「おそらく、この作品が今後、陽の目を見ることはまずあり得ないと思いますので、奇跡的に映画館で観ることができたということについては率直に喜びたいと思いますけどね」

サイゴウ
「まあ、こういう【日韓友好バンザイ映画】は今後の韓国で、ますます作られなくなるだろうし、作っても公開されなくなるだろうから、そういう意味でも、『第4イノベイター』の上映は、珍アクシデントだったのかもしれない。2000年以降に製作されて公開された韓国映画の中でも屈指の【ヘンな映画】であることは間違いないだろうな」

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