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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『クオバディス/神は何処へ行く』(2014)★★★+1/2★ [韓国映画]

原題
『쿼바디스』
(2014)
★★★+1/2★
(韓国一般公開 2014年12月10日)

英語(というかラテン語)題名
『QUO VADIS』

日本語訳題名
『神は何処へ行く』

勝手に題名を付けてみました
『ここに神様はもういない』

QV.jpg
製作・配給 단유필름

(STORYというか概要)

キリスト教系宗教団体が大利権組織として君臨する韓国社会。

ソウルの一等地には巨大な教会が次々と建設され、その様子はまるで要塞だ。

教会経営者の懐には、信者たちから巨額の資金がもたらされ、それが転がされることで、さらに教会は利権団体として肥太ってゆくが、同時に、金と教義、権力を盾にした牧師たちの不正と教会組織の腐敗が進行し、教会として、本来の目的を失いつつあった。

その酷い実態を取材すべく、アメリカからマイケル・ムーアと名乗るドキュメンタリー監督(=イ・チョンユン)が韓国を訪れる。
そして、彼を見守るかのようにイエス・キリスト(=ナム・ミョンリョン)も地上に再降臨するが、彼が韓国の教会を見る目は冷たかった…

韓国ドキュメンタリー映画の異端児、キム・ジェハンが猛烈な皮肉を込めて、現代韓国教会事情を描く。

サイゴウ
「TV番組の出来レースを面白おかしく告発した『トゥルーマン・ショー(트루맛쇼)』のキム・ジェハン監督が、韓国キリスト教団体の問題をドギツく揶揄したドキュメンタリーなんだけど、マジで面白かったな」

サカモト
「マイケル・ムーアのパロディが酷く陳腐なので、最初はゲンナリしてしまうのですが、そのチープさも、おそらくは演出の内だったのでしょうね」

サイゴウ
「韓国のキリスト教系宗教団体って、いわば【不可侵の怪物】なんだけど、中身は結構お粗末な組織だったりする。そのことを、敢えてチープなパロディの手法を取ることで、完全におちょくっている、って感じだな」

サカモト
「韓国の巨大キリスト教系団体は、一般の中道リベラル派市民からすれば、忌むべき悪の象徴でもあって、毛嫌いする人も多いんですけど、その理由は、この映画を観ると、よーく分かります」

サイゴウ
「ただ、それらのメガ・チャーチを批判したり嫌う人がたくさんいる反面、一途な信者も同じく大勢いて、結果、お布施という名の巨額な資金が絶えず流れ込むから、一部経営者が潤ってしまう。それが原因となって、韓国の教会は大なり小なり、不正資金だとか性犯罪なんかの温床になっている事実が、この映画では描かれている」

サカモト
「まず、ソウルの一等地に建設された巨大な宗教施設の不自然な様子が笑わせてくれますが、韓国のキリスト教嫌いな観客からすれば、不愉快で腹が立つでしょうね」

サイゴウ
「それだけ韓国では信者が多く集まる、ということでもあるし、一部施設は聖職者の教育施設も兼ねているだろうから、ある程度の規模になるのは分かるんだけど、あそこまで巨大化しちゃうと、韓国ゼネコンと韓国系キリスト教団体、癒着の象徴みたいでもある。あそこまで凄くはないけど、日本の韓国系教会もデカくなる傾向はあるよな」

サカモト
「人によっては、【韓国ゼネコン≒韓国政財界】と教会が癒着している図式にも見えるでしょうね」

サイゴウ
「韓国のキリスト教が日本のそれよりも胡散臭く感じられる理由には、ああいう権力と見栄の塊のような施設をバンバン作っていることも一つあると思う。あれって、【表では愛と平等を謳っているくせに、実際は単なる銭と権力の利権団体だろ】って言われても仕方ないものだ」

サカモト
「劇中、故オク・スンハン元老牧師が内部批判派の象徴として、ちょっとだけ出てきますが、彼がトップにいた某教会は、韓国を代表するメガ・チャーチの訳ですから、なんだか矛盾していて、皮肉ですよね」

サイゴウ
「冒頭出てくる江南の巨大教会は、その某教会の建物だし」

サカモト
「韓国のキリスト教はカルト化しやすいというイメージもありますが、その具現化のようにも見えます」

サイゴウ
「地下鉄内で撮影された【不信地獄信者のオバさんが、仏教のお坊さんを攻撃するの図】も、その分かりやすい例だな。観ていて笑ってしまったが…聖職者による性犯罪が絶えないのも、カルト化というところに原因があるんじゃなかろうか」

サカモト
「もちろん、そうではない真摯な人たちも大勢いますけどね。最近、韓国内でカトリックの再評価が高まっているという話を聞いたのですが、それは、韓国系プロテスタントの醜聞が続いていることも反映していると思いますよ」

サイゴウ
「カトリックはバチカンが聖職者の好き勝手を厳しく管理しているから、プロテスタントよりも問題が起こりにくい、表面に出にくい、という事はあるだろうな」

サカモト
「結局、真面目な聖職者や信者にしわ寄せがいってしまうことになる訳ですけど、韓国で製作される他のキリスト教系ドキュメンタリーでは、教会独特のそうした黒い問題を一切語りません。なにせ、映画の目的が自派の布教ですからね」

サイゴウ
「聖職者と信者とその行いは、【ひたすら美しく、そして立派】というのが、その手の映画では定石、お約束」

サカモト
「でも、今回はトンデモといっていいくらい、そうした事とは真逆です。『QUO VADIS』が面白かった理由は、韓国ドキュメンタリー映画として【稀】といっていいくらい、露骨に韓国系キリスト教団体のあり方を批判していることにあったと思います。でも、基本姿勢はキリスト教自体を否定している訳ではなく、むしろ逆説的に擁護していたのではないでしょうか?」

サイゴウ
「韓国系キリスト教の未来を【壊滅する】とは言わないで、【タイタニック号の沈没】に例えていたのは、そんな意図の現れかもしれないな」

サカモト
「映画の中でおちょくりの対象になっているのは、やっぱり団体の上層部と、それに踊らされる一部信者ですからね。劇中、偽マイケル・ムーアと共に具象化したイエスがMCやっていますけど、あれも信者を馬鹿にしている訳ではなくて、【神の子自身が韓国のキリスト教界を危惧している】という構図なのでしょう」

サイゴウ
「でも、あのイエスは、ちょっとあざとすぎたけどな。演出として理解できるけど、観ていて抵抗も感じた」

サカモト
「劇中、汚職や性犯罪の加害者である実在聖職者の名前をがんがん挙げておちょくっていますが、あれも個人攻撃というより、検挙を免れて隠れている連中や、それを保護している上層部への暗喩的批判だったと思います」

サイゴウ
「結局、罪は宗教にあるのではなく、それを司っている人間にある、という理屈なんだろう。ただ、それ自体はありがちな結論だし、それにしか映画の方向を持って行けなかった歯がゆさはあった」

サカモト
「かといって、特定宗教団体とか、幹部個人を名指しで執拗に攻撃しても仕方ないですし…偽マイケル・ムーアと嘘臭いイエスを狂言廻しに使ったのも、そういう意図があったからなのではないでしょうか」

サイゴウ
「まあ、全編お安いコメディ仕立てなのは気になったけど、意外とよく練られた作品だったのかもしれない」

サカモト
「日本人にはよく分からない韓国キリスト教事情を知る上で、興味深い内容だったと思います」

サイゴウ
「近頃、韓国で量産されているキリスト教系ドキュメンタリーとも併せて観て欲しいよな。そうすれば、さらに色々と発見があると思うよ」

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