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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『春夏秋冬ロマンス』(2013)★★★+1/2★ [韓国映画]

原題
『춘하추동 로맨스』
(2013)
★★★+1/2★
(韓国一般公開 2014年12月4年)

英語題名
『Men and Women』

日本語訳題名
『春夏秋冬ロマンス』

harunaruakifuyu.jpg

(STORY)

秋、夏、冬…(※)
それぞれの季節に起こった、中年男女、恋の顛末。

『紅葉狩り団結大会/단풍맞이 단합대회』
秋。
山嫌いのウギ(=イ・ウンジェ)は先輩サンボム(=チョ・ソッキョン)に連れられて、郊外へハイキングに出掛ける。
ウギは、片思いのスジン(=チェ・ウナ)が来ると聞いて腰を上げたのだが、実際はサンボムしか、いなかった。
白けた空気が漂う中、互いの恋愛観で虚栄を張り続ける二人だったが、酔っ払ったウギは、サンボムの言葉に傷つき、山頂で自殺騒ぎを起こす。
そこに、途中で知り合ったUFO信者(=イ・ジュンヒョク)が現れたことから、事態はとんでもない結末を迎える…

『ホットサマー・バカンス/핫썸머 바캉스』
夏。
若いとは言えない独身女性三人組のスジン、ヒョジョン(=イ・ミナ)、ミア(=イ・ソリム)たちは海辺のバカンスを企てる。
だが、運転手としてミアの彼氏サンチョル(=オ・デハン)が加わったことから、三人の関係に出発時点から暗雲が垂れ込み始める。
道中、些細なことから一発触発の状況に陥り、海に着けば着いたで、女達の反目は高まるばかり。
やがて、熱々のサンチョルとミアは、部屋のトイレに下痢のヒョジョンがいることを知らずに、エッチを始めてしまう…

『走れ、雪花列車/달려라 눈꽃열차』
冬。
遂にウギはスジンを旅行に誘い出す。
それは日帰り列車旅行に過ぎなかったが、ウギは彼女をものにすべく、決死の覚悟を決めていた。
だが、二人は最初から噛み合わない。
のらりくらりと田舎街を歩き、地元名産の人参と人参酒を買い求めるウギだったが、店ではカードが使えず、手持ちの現金も足りない。
何事にも煮え切らないウギに愛想を尽かした怒り心頭のスジンは、彼を置いたまま、どこかに姿を消してしまうが…

俊英オ・チャンミン監督が描く、オフビートな恋模様。

(※)本作品は四部作構想だったが、主演イ・ウンジェが急逝し、春編は製作されなかった。また、製作順に編集、公開されたため、四季の順番が入れ違っている。


サイゴウ
「最初はホン・サンス風の展開で、【なんだ、これ?またかぁ】みたいで行く先に不安を感じた作品だったんだけど、加速度的におかしさが増してきて、結果的にはマジで良かったよ。拾い物といっていいだろうし、監督のオ・チャンミンは今後、要チェックのクリエイターかもしれない」

サカモト
「基本は地味な会話劇ですけど、どういう訳か、やたらと面白いですよね。不思議です」

サイゴウ
「【ホン・サンス=ワールド】を普遍的な語り口にして、下品にすると、こんな感じになるのかも知れないけど、内容はベタだったりする」

サカモト
「いい年をした男女が【好きだ、嫌いだ】で迷うネタですからね。でも、それだけの話なのに、物語が廻ってしまう」

サイゴウ
「間の取り方やリズムが絶妙なので、観ていて飽きないんだよ。凝ったカメラワークや映像美なんかも特にやっていなんだけど、キャラクターの動かし方が上手いし、それに応えられる俳優を揃えている」

サカモト
「コメディとしては、オミョル監督作のような【おとぼけ系】ですが、もっと洗練されていて、都会的な感じがします」

サイゴウ
「決して【おしゃれ】ではなんだけど、【意図的に泥臭く偽装された洗練さ】というか…ちょっと、うまく説明できないな。おそらく、少し前のフランス映画なんかに似た感じかな?とにかく、独特だ。表向きは韓国映画にありがちな【ベタなヒューマン・コメディ】ではあるんだけど、その裏側には全然違うものが隠れている、って感じ」

サカモト
「何よりも人間観察が鋭いですよね。かなり細かい演技をさせていますけど、監督自身は【人が好き】というよりも、達観して舐めているみたいで、人を喰った視線を感じました。オ・チャンミンという人は、相当なニヒリストなのでは?」

サイゴウ
「異なる季節を背景に、全部で三部構成になっているんだけど、特に第二部の『ホットサマー・バカンス/핫썸머 바캉스』における女性同士の剣呑な戦いは、あまりにも実感こもっているので、感心しちゃった。女性からすると、相当イヤーな展開じゃないかな?車内の何気ない会話が【テメー!やるか!】みたいになっちゃうところなんかは監督の才能を感じたし、三人組の一人が腹を壊すネタは下ネタだけど大爆笑。あそこまで女性の美しくない部分を何気で描ける男性監督は、そうそういないと思うぞ」

サカモト
「この監督は、女の人のことを信用していないのかもしれませんね。女性観客からすれば、それがどこまでリアルに見えるかは分かりませんけど…」

サイゴウ
「男性については、どちらかと言えば紋切り型なんだけど、これは、映画の中で男たちに道化役、狂言回しの機能を振るための方便にも思える」

サカモト
「第一部の諍いなんて、韓国人男性気質丸出しのネタ」

サイゴウ
「まるで中坊同士の喧嘩みたいだけど、ウギと先輩に限らず、この映画に出てくる男たちって全員、絵に描いたような韓国男子キャラなんじゃないかな?」

サカモト
「男性連中が主人公に見えるようではあっても、その使い方が逆説的なので、スジンのキャラクターと行動が、最後は印象に強く残る結末になっています。結局、【本当の主人公はスジンなのでは?】と思ったのですが、フェミニズム志向の強い作品なのかもしれません」

サイゴウ
「一応、話の展開上、男の主人公はウギであり、女の主人公はスジンという割り振りをしてはいるけど、これは観客を混乱させないための建前みたいなもので、基本的には主人公不在の群像劇だったんじゃないだろうか?どの俳優もキャラが等しく立っていたりするからだ」

サカモト
「演じているのは皆知らない俳優ばかりですけど、いい味出していましたし、上手いですよね。特に、チョ・ソクヒョンはかなりいいです。出番は少ないのですけど」

サイゴウ
「彼はインパクトがあったよな」

サカモト
「スジン役のチェ・ウナは美人なのかそうなのか、よく分からない人ですけど、女性特有の可愛らしさと剣呑さが良く出ていました。そこら辺は監督の力なのかもしれませんけど…」

サイゴウ
「女優陣がみんな微妙な年齢、ルックスなのも、この映画ではプラスになったと思う。あんまり綺麗じゃないし、正直、オバさんだけど、それもまたリアル。モデル上がりの二十代使っていたら、今回のような妙に親身な笑いは生まれなかっただろうな。それに、韓国でも最近は三十、四十越えの独身って、男女共に増えているから、実はそこら辺も計算に入れた配役だったんじゃないのか」

サカモト
「中年期迎えても、男女の恋愛感情はなんら変わらないということを象徴する、絶妙なキャスティングだったのかもしれませんね」

サイゴウ
「でも、ウギ演じたイ・ウンジェが、この映画の公開前に亡くなっていて、遺作だったのは、ちょっと衝撃的だった。物語がハッピーエンドだったから、なおさら」

サカモト
「この映画観るまで、イ・ウンジェって、全然知らない俳優だったんですけど、今回いい味出していたので残念です」

サイゴウ
「彼の死を報じる最後の字幕は、ちょっとグッと来たよな。それだからこそ、なおさら印象に残る映画になったのかもしれない」

サカモト
「商業価値は低いかもしれませんが、日本で上映する価値のある韓国インディーズだったと思いますよ」

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