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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『被害者たち』(2014)★★  [韓国映画]

原題
『피해자들』
(2014)
★★
 
(韓国一般公開 2014年7月31日)

英語題名
『The Suffered』

日本語訳題名
『被害者たち』

勝手に題名を付けてみました
『殺人彫金師』

higaisya2.jpg
(STORY)
カイン(=チャン・ウナ)は、危篤状態になった父親(=キム・ミンドゥク)を見舞うために田舎の病院を訪れるが、彼女の父親を見る目は冷たかった。
なぜなら、幼い時に両親が離婚後、カインは父親(=キム・ミンドゥク)に犯され、ずっとその性的相手をさせられてきたのだ。

ソウル・乙支路にある父の鍵屋を継いだカインだったが、商品知識はゼロで客の要求にまともに応えられない。
そして、たまたま店を訪れたトギョン(=リュ・テジュン)に一度の出会いで心惹かれてしまう。
彼の後をつけたカインは、トギョンが金属工芸師であることを知るが、彼には金持ちの婚約者ヘリ(=ヨン・ソンハ)がいた。
カインの想いを察したかのように、手製のブレスレットをトギョンから渡されたカインだったが、それは地獄の始まりだった…

ある夜、トギョンの工房近くで女性が襲われた現場に遭遇し、カインも何者かに誘拐されてしまうが、目覚めた場所はトギョンの工房だった。
実はこのトギョンこそ、女性連続殺人事件の犯人であり、街で目を付けた女性たちに自分の作品を渡しては次々と襲って拉致し、拷問を加えて殺害していたのだ。

だが、トギョンの行為の裏側には幼い日のトラウマがあった。
厳格な警察官の家庭で育ったトギョンは、子供時代の経験に今も苦しめられていたのだ。

お互い、似たもの同士であることを知ったカインとトギョン。
やがて二人は倒錯した官能の日々を送るようになるが、事件を担当するクァンシク刑事(=イ・サンフン)らが、すでにトギョンへと迫りつつあった…
サイゴウ
「あまりにも【キム・ギドク風】なテイストなので、また弟子筋が作ったクローン映画かと思ったんだけど、どうもそうじゃないみたいなので、ちょっと驚いた」

サカモト
「監督とシナリオを担当したノ・ジンスのキャリアを調べてみますと、特にキム・ギドクとの関係は見当たらないようですね。映画業界歴も結構長い人で、シナリオの分野ではそれなりの業績があるクリエイターのようです」

サイゴウ
「業界歴の長さだけで言えば、キム・ギドクと大して変わらない気もするので、一観客として大きな影響を受けたのかな?でも、ここまでそっくりだと気持ち悪い」

サカモト
「冗談で【製作キム・ギドク】だとか【脚本キム・ギドク】とか謳われても、事情を知らない人は騙されかねないくらい、雰囲気が似ていました」

サイゴウ
「でも、【キム・ギドク的】って、実はオレたちが思うより韓国では普遍的で平凡なテイストなのかもしれないぞ…キム・ギドクって、作風が独特だからこそ注目され、韓国映画界の異端児として祀り上げられたと思うんだが、韓国人的にはそうでもなかったりして…彼の弟子筋がこういう映画作るのは分かるんだけど、そうじゃないところから出て来たのだとすれば、今までキム・ギドクに騙されていたみたいでショックだな」

サカモト
「どう見ても低予算作品なので、それ故、雰囲気が似たのかもしれませんし、ノ・ジンス監督がインディーズ・デビューするにあたって、大いにキム・ギドクを研究した可能性もありますけど。韓国の風土が生み出したものなのか、マーケティング分析に沿った結果なのかは、分かりませんけどね」

サイゴウ
「でも、今頃こういう作風掲げても、誰も注目しないと思うよ。みんな、【キム・ギドク味】には飽きちゃったもん」

サカモト
「ノ・ジンスという人が過去に関わった作品は、絵に描いたような商業映画ばかりですから、その反動でこういう雰囲気の映画になったのかもしれませんよ」

サイゴウ
「もしかしたら、仕事として【興味のない下請けネタ】を器用にこなしちゃうクリエイターなのかもな…でも、それならば、こんなヘンな映画にしないで、いつも通り、普通にやればよかったんじゃないだろうか?ヘタにサイコ系ネタにしちゃったので、一般客からすれば【また、これ?】みたいなイメージで敬遠されちゃうよ」

サカモト
「実際、物語の中で猟奇的な設定はそれほど重要だとは思えませんでしたしね。どちらかと言えば変則的な純愛ラブストーリー。ひたすら暗く救われず、女優はやたら脱ぎまくりで、ちょっと昔の日活ロマンポルノ風ですが、キリスト教的な記号が随所に散りばめられていますから、それがまた、【キム・ギドク味】の印象を強めたのかもしれませんし、主人公二人が暗い子供時代を抱えた似たもの同士であることを知って、結ばれてゆく様子もまた同様だったのかもしれません」

サイゴウ
「でも、本家本元ほど【情念メラメラ】していないし、アンモラルな印象も薄い。観た後、すぐ忘れちゃう」

サカモト
「結局、そこら辺が元祖キム・ギドクの持つ個性との違いなのかもしれません。同じこのシナリオでキム・ギドクが撮ったとすれば、客が来なくても、そこそこ話題になったような気はします」

サイゴウ
「そこら辺が後発デビュー組の不利なところだな。【インディーズ=暗い】という韓国映画の定石が壊れて来ている今だからこそ、あえて明るく前向きで健全な映画を積極的に撮った方が戦略としては堅実な気もするんだけど…」

サカモト
「【猟奇的でアンモラル】な点で注目されれば、メジャーのホラーやスリラー系企画を撮るチャンスが増える、という方法論もありますけどね。今回はそれを狙っていたのかもしれませんよ」

サイゴウ
「でも、ひたすらテンションが低いので、仮にホラーやスリラーやっても、どうかなぁ…俳優たちの個性もイマイチだし…半端な美男美女を集めただけで、演出的にうまくいっていない、といった感じだ。だから、彼らの演技が上手いのか、下手なのかも、よく分からない。ただ、女優陣がそこそこ可愛いかったり、そこそこ美人だったりするので、【今の韓国は脱ぐ、脱がないの敷居がだいぶ下がったなぁ】という印象だけはあったけど」

サカモト
「でも、今どき韓国映画にエロを期待する人はいないでしょう…実際問題、最近の韓国映画は必要以上に女優が脱ぎ過ぎるので、観客として【もう、結構】になっている部分もあるのでは?」

サイゴウ
「変態彫金家演じたリュ・テジュンについては、割りと繊細な演技をしているんだけど、キャラクターの異常性が露見してからは、絵に描いたような【キム・ギドク味の演技】に陥ってしまうのでしらけてしまう。彼の存在もこの映画が【キム・ギドク味】に見える一因だったのかもしれないな。なにせ、ルックスがもろにキム・ギドク好み」

サカモト
「刑事役のイ・サンフンも割りと個性的な俳優ですが、定石を超えませんし…ちなみに彼は共同で脚本を手がけているようなので、将来は監督を目指しているのかもしれませんね」

サイゴウ
「韓国は俳優がまだまだ冷遇されているから、そういう【二足わらじ志望】が結構いたりするよな」

サカモト
「それはそれで、悪いことではありませんけどね」

サイゴウ
「『被害者たち』だけを見た限りでは、言っちゃ悪いけど、全く別の方向性で今後の企画を考えないと、ノ・ジンス監督は再度【キム・ギドクもどき】に陥っちゃうんじゃないのだろうか?」

サカモト
「【キム・ギドクを思い起こさせる~】という表現が、一時期はそれなりに【いい意味】を含んでいたこともあったと思うんですけど、今は必ずしも、そうじゃありませんからね」

サイゴウ
「どうせ似ちゃうのなら、いっそのこと、キム・ギドクのパロディでもやった方が注目されるんじゃないのかな?」

サカモト
「でも、実際やったら、キム・ギドク側から告訴されて揉めそうですけどね」

サイゴウ
「キム・ギドクって、そういうことされるの、露骨に嫌がりそうだからな」



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