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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『命(いのち)』(2014)★★★★ [韓国映画]

原題
『목숨』
(2014)
★★★★
(韓国一般公開 2014年12月4日)

英語題名
『The Hospice』

日本語訳題名
『命(いのち)』

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(STORY)
ホスピス。

そこは、回復が望めない末期がんの人々が、最後の時を過ごす場所だ。

ある者は家族に看取られながら、ある者は孤独に、この世を去ってゆく。
それは、各々の人生を象徴するかのようでもあった。

日々、そんな患者たちへ気さくに接する現場スタッフたち。

末期がん患者とその家族、そしてホスピスで働くスタッフたちの姿を、静かに優しく、克明に追い続けた傑作ドキュメンタリー。


サイゴウ
「とても感動的な作品なんだけど、癒し系である反面、誰でも直面しうる現実を直接的に描いているので、人によっては悲しい思い出を追体験しちゃう辛い映画かもしれない」

サカモト
「四人の末期がん患者と、その家族が映画では描かれているのですけど、カメラはかなりプライベートなところまで踏み込んでいます。特に臨終の瞬間は、【よく許可してくれたな】、なんて、感心しつつも驚いてしまいました。ですから、被写体になっている当人やその家族の立場からすれば、物凄く残酷なフラッシュバックを生み出す作品かもしれません。日本で同じことをやろうとしたら、自主規制がかかりそうな感じがします」

サイゴウ
「その分、映像に嘘が無いし、作り手側の真摯さ、誠実さを感じる。被写体になる側の信頼を得て撮影に臨んだって、ことなんだろうけど、そこに到達するまで大分時間も掛かったんじゃないだろうか?そういう意味でも力作だった」

サカモト
「でも、語り口はあくまでも静かでドライです。妙に悲しみを盛り上げるような演出はやっていません。そこもいい」

サイゴウ
「あくまでも作り手側が見て、感じたままの事象を再現しているようでもあったな。それゆえ、皮肉なことだけど、死にゆく人たちが生き生きと描かれていた」

サカモト
「映画の進行に伴って、患者さんたちの容貌が変化してゆくのは、観客としても身につまされます。でも、そこに撮る側と撮られる側の利害を超えた絆を感じましたし、それが映画の中で、どんどん深まってゆくようにさえ思えました」

サイゴウ
「被写体の人達はすでに手の打ちようがなくて、対処療法で延命している状態なんだけど、ちょっと運命を達観しているような人もいて、全体的に落ち着いていたのは意外だったな」

サカモト
「もちろん、落胆や悲しみもありますけど、【静かに死を受け入れよう】みたいなものは感じましたね」

サイゴウ
「ただ、残される家族の様子はホント辛いよ。彼らの献身努力が、家族の死でプツン、と切れちゃうワケだからね。そこら辺も忌憚なく描いていたと思うよ」

サカモト
「ホスピスのスタッフにとっても、施設を退職するまで、それが延々と目の前で続く訳ですから、働いている人たちはみんなタフですよね。私だったら、とてもではありませんけど、耐えられないでしょう」

サイゴウ
「だからか、医療スタッフはみんな明るくて、やけに優しかったりする。部長医なんかは、とても気さくだ。患者たちとスタッフたちが一種の擬似家族になっているんだろう。そこら辺の雰囲気はTVドキュメンタリーだと、ちょっと伝わりにくい感覚かもしれない」

サカモト
「除隊したばかりの青年が見習い神父としてホスピスで働き始めますが、その明るい人柄と、彼が患者さんと親しくなる様子を見れば見るほど、青年の心の内には暗いものがどんどん鬱積しているようにも思えて、これも辛かったです。だから、最後に彼が施設を辞めて旅に出るシーンは泣けました。【頑張れ!】って思わず叫びたくなりましたよ」

サイゴウ
「患者の人たちも、看取ってくれる家族がいる人ばかりじゃないのが辛いよな。【明日は我が身】という感じで、他人ごとじゃない」

サカモト
「その象徴なのが、食道がんで声を失ったお爺さんですね。しゃべれないから意思を伝えるのも不自由で、いつもイライラしている。しかも身寄りがないので見舞いがほとんど来ません」

サイゴウ
「だから、お爺さんが時折見せる笑顔や、おどけた様子にはホッとさせられたりする」

サカモト
「でも、最後は独りで死を迎えるしかないという結末が見えているのはやっぱり辛いですよ。あのお爺さんは見習い神父と親しかった分だけ、映画の最後の方になると、その辛さが余計に倍増します」

サイゴウ
「光州から来た四十代の男性は、いつも奥さんや子供たちが一緒で、本人も一番屈託ないように見えるから、【もしかして彼は生き残るかも?】なんて思うんだけど、やっぱり最後に奇跡は訪れない。オレはそれが辛かった」

サカモト
「彼は絵に描いたような純朴な人で、年齢が若い分だけ生き残る希望を持っているのですけど、映画が進むにつれて病状が進行し、どんどん元気が無くなってゆく。家族仲がいい分、彼の子どもたちにとって【この映画がトラウマにならなければいいのだけど】なんて思いましたよ」

サイゴウ
「映画で扱っている題材は実体験がないと関心を持ちにくいネタではあるんだけど、決して末期がん患者の様子を描いただけの内容ではないと思う。韓国における医療福祉の問題や、高齢化に核家族化といったことについても、何気に問題提起していたんじゃないだろうか。この映画に出てくる患者の人たちは、どちらかと言えば、まだまだ恵まれている方だったと思うよ」

サカモト
「あくまでも、ホスピスで人生の最後を過ごす人々の様子をありのままに粉飾しないで提示しようとしている作品だったと思うのですが、情報密度が高いので、図らずも観る側が様々なテーマを抽出できる作品だったのかもしれませんね」

サイゴウ
「とても優しい印象の映画ではあるけど、見た目とは裏腹に、本質はかなり厳しい性格の作品だったんじゃないかな?」

サカモト
「日頃、韓国のドキュメンタリー映画を観ていると残念なことにお勧めできる作品はあまりないのですが、この『命(いのち)』は、機会があれば是非観て欲しい傑作だったと思います」


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