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(2015年7月より不定期掲載)
日本と韓国の裏側で暗躍する秘密情報機関JBI…
そこに所属する、二人のダメ局員ヨタ話。
★コードネーム 《 サイゴウ 》 …仕事にうんざりの中堅。そろそろ、引退か?
☆コードネーム 《 サカモト 》 … まだ、ちょっとだけフレッシュな人だが、最近バテ気味

韓国映画の箱

(星取り評について)
(★★★★ … よくも悪くも価値ある作品)
(★★★ … とりあえずお薦め)
(★★ … 劇場で観てもまあ、いいか)
(★ … DVDレンタル他、TVで十分)
(+1/2★ … ちょっとオマケ)
(-★ … 論外)
(★?…採点不可能)

『18:私たちの成長ノワール』(2013)★★ [韓国映画]

原題
『18 : 우리들의 성장 느와르』
(2013)
★★
(韓国一般公開 2014年8月14日)

英語題名
『18 - Eighteen Noir』

日本語訳題名
『18:私たちの成長ノワール』

勝手に題名を付けてみました
『新・マルチュク青春通り 映画少年死闘編』

18.jpg

(STORY)

高校生トンド(=イ・ジェウン)は、母親(=サ・ヒョンジン)と二人暮らし、学校では存在感のない生徒だ。
ただ、大変な映画好きで、学校から帰ると部屋に篭もり、映画のVTRばかり観ているので、母親はそれをちょっぴり心配している。

トンドのクラスメートにヒョンスン(=チャ・ヨプ)という孤高の不良がいた。
強烈な威圧感で番を張り、授業をサボって喫茶店通いを繰り返していたが、根は真面目で仁義に厚く、決して弱いものに手を上げず、そのカリスマ性から周りに一目置かれている生徒だった。

ある日、トンドは隠れ喫煙が縁でヒョンスンと知り合い、やがて彼一派の仲間として受け入れられるようになる。
喫茶店の一角を占拠してダベるメンバーはいつも同じで、不良と言っても穏健だった。

だが、仲間の一人、短気で喧嘩っ早いトンチョル(=イ・イクチュン)だけは別だ。
彼はメンバーの一人である美少女ヨンヒ(=ソ・ジュア)と付き合っていたが、最近別れたことをきっかけに荒れ、グループ内ではギスギスした空気が流れ始める。 やがて、トンチョルはグループを抜けて、ヒョンスンと対立する別グループに接近するようになる。

トンドの生活態度が悪化していることを心配した母親は息子を問い詰めるが、そこにかつてのような母子の会話は無くなっていた。
そして、ヒョンスンとトンチョルの対立が激化したことから、遂にトンドは悪意に満ちた暴力の洗礼を受けることになる。

1990年代の韓国を舞台に描く、青春暗黒模様。


サイゴウ
「この作品、かつての名子役イ・ジェウン久々の映画復帰作ということで、映画祭なんかではチケット入手困難に陥ったらしい。それって、イ・ジェウンの固定ファンが多かった証ではあるけれど、限定されたイベント上映ではよく起こりうる現象であって、ご贔屓筋的な立場から全く離れて観た場合、果たして、この『18:私たちの成長ノワール』が純粋に良い作品かどうかは全く別の話」

サカモト
「でも、韓国で生まれ育った一定世代の人たちなら、共感できる物が中心に描かれていますから決して、悪い映画ではないと思います。日本だったら1980年代くらいの高校生活を描いた話、って感じですよ」

サイゴウ
「オレも格段この映画がひどいとは思っていない。だけど、インディーズが陥りやすい【スカスカ感】に【ダレダレ感】がいっぱいの映画だったから、観ていて物凄く疲れたし、【また、この手の青春時代回顧話?】って感じでウンザリしちゃった。韓国だから仕方ないけど、もっと前向きな話を撮って欲しいよ。それだけ、今の韓国社会は閉塞感に溢れている、ってことかもしれないが個人の思い出を押し売りされているみたいで全くノレなかった。イ・ジェウンは確かに他とは違うオーラを持った、いい若手俳優だけど、やっぱり彼一人の魅力だけじゃ、映画は良くならないってことを証明している」

サカモト
「監督のハン・ユンソンは1983年生まれ、製作畑を歩んできた人のようで、本格的な長編デビューは今回が初めてのようですが、確かに映画で描かれた風景は、彼の高校生ぐらいの時期に当てはまります。当人に聞いてみないとわかりませんが、自叙伝的な色合いが濃いのはあながち見当外れではないでしょう」

サイゴウ
「この手の映画として最も有名、かつ【類似企画の通り】をよくする契機になったのは、おそらくクァク・キョンテクの『友へ チング(친구)』だとは思うんだけど、おそらく嚆矢ではないはずだ。過去の韓国映画をひっくり返して見れば、学ラン着た不良の暴れる話が幾つもあるはず。そう考えれば、今回の『18:私たちの成長ノワール』も一種伝統に沿った作品かもしれないし、人間ドラマとしてもヒネリは効いているから正統派なんだろうけど、じゃあ、イ・ジェウンを抜いたら何が残るかと言えば、何も残らなかったりする」

サカモト
「観ていて気になったのは、主人公たちの親や教師の姿がきちんと描かれていないことですね。イ・ジェウン演じるトンドは母子家庭で、お母さんが始終息子を気にかけている様子は挿入されていますが、お約束を超えていません。母親を演じたサ・ヒョンジンという女優さんは、明るくて軽やかなイメージがあって好演だったと思うので、もっと出番があってもよかったと思いますし、半端な不良の話をグタグダ、ダラダラやりよりも、息子と母親の話に集約した方が、いい映画になった可能性はあります」

サイゴウ
「やっぱり、オレとしては【半端な不良の話をグタグダ、ダラダラ】っていうのが、この映画の一番の失敗だったと思う。あの様子って、たぶん多くの共感を得る部分ではあるんだけど、そこにウェイトを置いてしまったので話が停滞しているし、赤の他人からすれば、【だから、それで?】にしか過ぎない。副題は『~成長ノワール』だけど、実際は『~成長が停滞しているノワール』だよ。それと、イ・ジェウン主演が大きなセールス・ポイントのはずなんだけど、彼の出番が妙に少なく感じた。どういうワケか、異常に存在感が無いし、他の連中のエピソードがことのほか長かったりする」

サカモト
「あえて『~ノワール』という言葉をタイトルに持ってきているので、イ・ハの『マルチュク青春通り(말죽거리 잔혹사)』並みの酷い青春譚が描かれるかと言えば、全然そういうこともありませんでしたね。確かに、大人しいトンドが悪意に満ちた暴力の洗礼を受けるくだりはリアルかもしれませんけど、多くの観客の期待するものとは違っていたと思います」

サイゴウ
「監督としては低予算のインディーズゆえ、無用な外野からの声をあえて無視して、嘘のない青春残酷物語を撮りたかったんだとは思う。だけど、こういうズレたリアリティ重視の映画を観て思うのは、やっぱり映画には大なり小なり、嘘と誇張がないとダメ、ってことかな。大人しいトンドは、学校で一目置かれた不良だけど、人間が出来ているヒョンスンと友達になったことから、今まで縁のなかった不良の世界に入ってしまう訳だけど、そこら辺がえらくユルい」

サカモト
「不良といっても、大したことはありませんし…」

サイゴウ
「ヒエラルキーを巡るひどい闘争に悪意に満ちた対立の連続ではあるけど、『マルチュク青春通り』や『豚の王(돼지의 왕)』で描かれたものに比べれば、まだまだ可愛いものだ。でも、こういう映画を観るたびに、本当、韓国のリアル中・高校生は可哀想だな、って、つくづく思っちゃうよ」

サカモト
「進学校に行けば行ったで、また別の軋轢と闘争がある訳ですから…」

サイゴウ
「今の韓国映画界って、お金持ちのお坊ちゃん、お嬢ちゃん、しかも高学歴で学生時代は成績優秀だった連中が掃いて捨てるほど沢山いるワケだから、今度はそういった学生たちの暗黒面を描いてもいいんじゃないだろうか?高校生がダメなら、新村や弘益大前辺りをうろつく恵まれた大学生たちを主人公にした青春残酷物語を作ってもいいと思うんだけどな」

サカモト
「でも、韓国の名門大学を出て留学して、アメリカ英語に堪能でも、国で待っている人生は悲惨、みたいな映画を作ったら、大手企業内で学閥形成しているお偉いOB連中から猛反発喰らいそうな気もしますけどね。【もう、投資してやらないぞ】みたいな…」

サイゴウ
「でも、インディーズなら、それもまた、いい宣伝になると思うよ」


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